Usual Software Engineer

よくあるソフトウェアエンジニアのブログ

IoT業界に入って半年以上経って気づいたIoTとは何なのか

昨年からIoT業界でソフトウェアエンジニアとして働いています。
IoTって何なのでしょうか? 入ったばかりの僕はそれを聞かれた時、なんとなく皆がわかっている程度の あらゆるThing(モノ)がInternet(インターネット)に繋がるんだよ と言っていたのですが、それだけ聞いてもはてな?と思う方が多いと思います。 ユビキタス社会という言葉は太古の昔からある幻想で僕は大学生のころに知りましたが、 ここ数年で少し夢物語でもあるようなその環境が現実的になってきました。 インターネットに繋げばスマホからいつでもどこでも家のエアコンを操作できたり 子どもやペットが特定の範囲に移動したらスマホに通知をしたり。 冷蔵庫内の食べ物の管理や家のドアの鍵の管理などは実際には浸透していないように思いますが まあでもそのうち当たり前になるのかもなとも思います。

それでも、あいおーてぃー(笑)だとかIoTは流行らなかった終わってるだとか、いろいろ言われることもあります。
個人的にはそれは的外れだと思っています。一時期”クラウド”という言葉が出てきて みんなクラウドクラウドだと言って、いやクラウドとか当たり前でしょって思っている人がいて、実際にクラウドが当たり前になって、 といった状況と同じで一過性の流行りのものではなく、IoTもクラウドと同じように当然のようにして現実世界に浸透していくものだと思います。 もちろんソフトウェア完結のものとは違いIoTの分野はハードウェアに関連しているので 特に一般家庭のシーンではエアコンや冷蔵庫など現実の生活に強く結びついているものなので クラウドの浸透よりもスピードが遅いと感じる部分もあるかもしれませんが。

さて、IoTはこれからどうなるでしょうか? テレビもエアコンもドアも郵便受けも照明も鏡も枕も、インターネットに繋がるでしょうか? あらゆるThingがインターネットに繋がることになれば僕らにとって夢のような世界になるかもしれませんが ここで一つIoT業界の人達が得た”発想の変化”があります。
いろんなハードウェアがありそれぞれがインターネットに繋がって僕らの思うように操作するには、 通信やデータ管理や認証がどんなハードウェアともうまく連動して欲しいものです。 どの業界でもそうだと思いますが、こういった連携のためにIoTに関する標準化団体がいくつかあります。 標準化も必要なことなのですが、話を戻して、その一つの発想の変化とはどのようなことでしょうか。
それは、ゲートウェイを用意することです。ここでのゲートウェイとは、一般的なゲートウェイ機器というよりも Thingのデータを集積要約中継などしてインターネットへ流すものであり、一部ではIoTゲートウェイと言われています。 あらゆるThingをインターネットに繋げるのですが、直接ではなく中継させる方がデータも通信も扱いやすいよね、ということです。 おそらくIoTゲートウェイをIoTゲートウェイとして売りだしても一般ユーザには浸透しないでしょうから、 GoogleのOnHubのようにWifiルーターがその役割を担っても良いでしょう。 僕もそうですがすでにIRKitみたいなものを使っている人にとってはすでに似たようなことができているので 何が違うのって感じだと思いますがまあ正直一般ユーザにとってはそう変わりないと思います。 IoTゲートウェイみたいな存在が重要になってくるのはいわゆるファクトリー系なのかもしれません。 ここまでが去年末ぐらいのIoTに対する認識です。

あれ?結局IoTの話は一般家庭のユーザではなくファクトリーで落ち着いてしまうのですか?
いいえ、違います。ここからは僕が驚きと納得感を得たIoTのこの先の話をします。個人的な見解ですので悪しからず。
先日AWS Summit Tokyo 2016がありましたね。 僕はAWS Summitは初めて参加したのですが、今回一番おもしろいと思ったセッションはAmazon Alexaの話です。 ”クラウドとマイクロサービスによる音声操作の新時代 - Amazon Echo & Alexa”というタイトルでした。 Amazon Echoはスピーカーを搭載し、ただの音楽スピーカーであるはずもなく、インターネットに繋がって Amazon Alexaの機能を利用し、音声入力によりあらゆる操作が行えるホームオートメーションのデバイスです。

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ちなみにGoogle Homeはこちらです。

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スマホでフリックをするより音声入力の方が楽だという現代っ子に驚かされるほどに歳をとってしまったのはさておき、 音声入力が一般化した中でIoTと音声入力というものは、めちゃくちゃ相性が良いと思ったわけです。 IoTは流行らないと言われる意図として、 家電の操作のためにリモコンや壁のボタンを押すために移動していたのが、次はスマホで統合して操作できるようになり、 これは便利だけれどおそらく生活の中でそこまでその便利さが重要視されていないために、 あまり浸透しなかったことを指摘していると思います。
しかしどうでしょう、一家に一台Amazon Echoがあり、自然言語で話しかければ 「ニュース聞かせて」「山手線の遅延情報教えて」はもちろん、 「子供部屋の電気つけて」「26℃にして」「リゼロ録画しといて」「掃除終わったら教えて」 これらも実現できるでしょう。Amazon Alexaで自分でスキルを設定すればあらゆるThingが操作できるようになると思います。 加えて、これは既存のデバイスに同居したわけではなく新しい家庭用のデバイスとして、しかも先ほど挙げたIoTゲートウェイの役割を担うような、必要で欲しくなるプロダクトではないか!

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で、何がIoTなのかって、Amazon EchoやGoogle Homeの技術の根本は人工知能の部分であるので 自らのアップデートや情報の取得を考えれば当然インターネットに繋がる必要があるわけです。 最初にIoTを知った時は、どうしても無理矢理インターネットに繋げてる感が否めなかったのですが こういった知能を持ったクールなデバイスを見ると、ああこれがIoTなんだなと思ってしまうわけです。 もはや、IoTはInternet of ThingsではなくIntelligence of Thingsなのではないか、とさえ思っています。 モノがインターネットに繋がることは、モノが知能を手に入れることなのだと。 ここまで考えが至ったところでようやく自分の中で一般ユーザにとってのIoTに納得感が生まれました。 ファクトリー系などのエンタープライズな話があまりできませんでしたがそこはまだまだ勉強不足です。

ホームオートメーションのデバイスがIoTと関係がないと捉えている方は、 それが間違っているかどうかはわかりませんが、セキュリティを考えたらオンプレのインフラ環境が クラウドAWSになるはずなんかないと思っていた方と近しい発想にあるかもしれませんね。
Amazon EchoにGoogle Homeが殴り込みして、そのうちSiriも何かやってくるでしょうから ホームオートメーションとしてのIoTはもう目の前まで来ています。ワクワク。